エルメス バーキン・ケリー誕生秘話:飛行機での出会いが生んだ奇跡の物語

メイソン・ストーリーズmaison-stories.comハイブランドの魅力を伝える ファッション・レザーグッズ

「エルメスはなぜこんなに高額なのか?」
その答えは、200年近い歴史と職人技の積み重ねにあります。

この記事では、エルメスが馬具工房から始まり、唯一無二のラグジュアリーブランドに成長した理由を紹介します。

奇跡の出会いがバッグになった!伝説の歴史とエピソード

エルメスの物語は、1837年、フランスのパリでティエリー・エルメスが一つの工房を開いたことから始まります。彼の作る製品は、今のバッグや財布ではなく、馬具でした。

 「馬車」から「バッグ」へ:時代と共に変わった約束

エルメスの製品は、王侯貴族が乗る馬車のための最高級のハーネス(馬具)でした。耐久性、美しさ、そして馬への優しさ。当時のトップブランドとしての地位を確立します。

しかし、20世紀に入り、時代は馬車から自動車へ。この変化に、多くの馬具メーカーが倒産しました。

ここでエルメスは、素晴らしい決断をします。それは、「移動手段が変わっても、最高級の素材と手仕事で、顧客の移動をサポートする」という哲学は変えない、という約束でした。こうして、馬の鞍を入れるためのバッグや、自動車旅行用のトランクへと、その技術は受け継がれていきました。

グレース・ケリーとケリーバッグ:運命の出会い

エルメスのアイコンバッグの一つ「ケリー」は、元々1935年に作られた「サック・ア・クロア」という名前でした。このバッグが一躍世界的なスターになったのは、ある女優の無意識の行動がきっかけです。

1956年、モナコ公妃となったハリウッド女優のグレース・ケリーが、パパラッチに追われる際、妊娠中のお腹を隠すためにこのバッグを使ったのです。その写真が雑誌の表紙を飾り、世界中から問い合わせが殺到。モナコ王室の許可を得て、正式に「ケリーバッグ」と改名され、永遠のエレガンスの象徴となりました。

飛行機で中身をぶちまけた!「バーキン」誕生秘話

もう一つの伝説「バーキン」の誕生は、さらにドラマチックで偶然に満ちています。

1984年、当時の5代目社長ジャン=ルイ・デュマ・エルメスが、パリ発ロンドン行きの飛行機で、隣に座ったイギリス人女優・歌手のジェーン・バーキンと出会います。

彼女は荷物があまりに多く、バッグから中身を床にぶちまけてしまいます。彼女の「理想のバッグがない」という悩みを目の当たりにしたデュマ社長は、その場で彼女の要望を聞きながらデザイン画を描き、「物を整理せず、何でも入れられるバッグ」を作ることを約束しました。

こうして、たった一枚の紙切れのスケッチから、世界で最も有名で、最も手に入らないバッグ「バーキン」が生まれたのです。

セレブリティが「ステータス」としても選ぶ理由

エルメス、特にバーキンやケリーは、単なるバッグではなく、「成功の証」や「ステータスシンボル」としても認識されています。

国内外問わず、多くのセレブリティが愛用しています。

  • 海外セレブ:
    • ヴィクトリア・ベッカムは、海外メディアの報道によると100個以上、総額数億円相当のバーキンを所有する、世界でも稀に見るコレクターとして知られています。彼女のコレクションは、バーキンを単なるバッグではなく、投資やアートとして捉える文化を象徴しています。
    • ジェニファー・ロペスが、ワークアウトに向かう際にもクロコダイルのバーキンを使用するなど、日常的なシーンにも妥協のない贅沢を取り入れる姿勢は、彼女のライフスタイル哲学として注目を集めています。
    • キム・カーダシアンは、特に希少性の高い「ヒマラヤバーキン」といった、市場価値の高いモデルを所有しています。これは、彼女たちがバッグを通じてファッション界での影響力とステータスを表現する一つの方法でもあります。
  • 日本の著名なファッションアイコンたち、例えば神田うのさん、矢田亜希子さん、長谷川京子さんといった方々は、プライベートでの着こなしにエルメスのアイテムを取り入れています。これにより、単なる流行ではなく、世代を超えて愛される普遍的な上品さを表現し続けています。

セレブたちがエルメスを選ぶのは、「誰でも買えるわけではない」という希少性、そして「世代を超えて価値が続く」という絶対的な信頼があるからかもしれませんね。

直近10年のリアルな評判:良い点と「買う難しさ」

エルメスは、他のハイブランドとは一線を画す独自の市場を築いています。直近10年で、その評判はどのように評価されているのでしょうか。

エルメスの揺るがない「良い評判」

  • 究極の資産価値: ほとんどのバッグが定価を上回り、特に希少素材のものは購入時の価格の数倍で取引されることも珍しくありません。「買って損をしない」というより、「希少性の高いモデルは、中古市場で高値で取引されることもある」数少ないブランドです。
  • 絶対的なクオリティ: 一人の職人が最初から最後まで手掛ける「アトリエの哲学」が貫かれています。これにより、10年、20年経っても修理しながら使い続けられる耐久性と美しさが実現しています。
  • 時代を超越したデザイン: トレンドの影響を受けません。祖母から母へ、母から娘へ、三世代で受け継げる普遍的なデザインは、現代のサステナブルな価値観とも合致しています。

知っておきたい「悪い評判」と「購入の壁」

  • とにかく買えない(入手困難): 人気バッグは店頭にほとんど並びません。購入するためには、ブティックで顧客としての実績を積み重ねる「エルメスの流儀」を理解し、待つ必要があります。この「買いたくても買えない」という状況が、ユーザーの最大の不満であり、同時にブランドの希少性を高めています。
  • 顧客サービスの差: 店舗や担当者によっては、顧客への対応に差があるという声も聞かれます。これは、「人気が高く、需要に供給が追い付かないため、購入までに時間がかかる場合がある」とい面が一見客には冷たいと感じさせてしまう側面なのかもしれません。
  • 値上げの加速: 世界的なインフレなどの場合は特に原材料費の高騰により、値上げが続く傾向があります。これにより、購入のハードルはさらに上がっているように思われます。

まとめ:エルメスが約束する「哲学の継承」

エルメスを選ぶということは、単に高価なアイテムを手に入れることではありません。

それは、「馬具工房からの揺るぎない職人技」と、「奇跡の出会いから生まれた物語」というブランドの哲学を受け継ぐことにほかなりません。

もしあなたが今、エルメスの製品を手にすることを迷っているなら、その価格には、数百年続く誇り高い職人の時間と、それを手にした偉人たちのドラマが詰まっていることを思い出してください。この物語こそが、エルメスを「別格のラグジュアリー」たらしめている、真の価値なのです。

エルメス(HERMÈS公式サイトはこちら
(公式URL:https://www.hermes.com/jp/ja/)